たとえばこういうやつ。
夜がひらく。
それは目で轟音をきく。耳には届かないで、空が裂けていく。
橙と濃い青が互いに捕食しあい、じっと動かないサメみたいな夕焼けが
徐々に、一秒のながさを増幅させ
夜のくちが裂ける。
昼間の残骸、生命をまき散らして、
熱の残りが幽霊になった。
暁方ミセイ「ヒヤシンスの夜」より(『ブルーサンダー』思潮社、2014年)
夕焼けから夜に変わっていく時間が、刺激的に描写されていてとてもすてき。
「それは目で轟音をきく。耳には届かないで、空が裂けていく。」という行など、「目で轟音をきく」とはなんのことか、考えようとしてもはっきりはわからないけど、「空が裂けていく」色と光の変化がまざまざと身体に感じられるようですごい。
本人のTwitterアカウント(下記)によると、第一詩集の『ウイルスちゃん』が新装版で出るらしい。
持っていないので楽しみ。
あ、それと!第一詩集『ウイルスちゃん』が、この度新装版となって版元の思潮社から出るそうです。カニエ・ナハさんの装丁です。長らく品切れで、わたしのところにまで問い合わせがよくきていたのですが、これからは新生ウイルスちゃんをよろしくお願いします!— 暁方ミセイ (@kumari_kko) 2016年7月30日