2016年8月4日木曜日

同人誌の感想:『君に秘密のなみだ』、『Balcony』

好きな同人誌の話。

A太『君に秘密のなみだ:Never let you know』かぼちゃぜんざい、2014年
「高校三年の夏、県大会100m決勝/その日 初めて俺は/七瀬遙の涙を見た」
Free!の遙×凛の同人誌。
七瀬遙が泣いた理由を求めて、遙の家をひとりで訪ねる凛のお話。

2期Eternal Summerの放送前の本なので、話はもう公式とつながっていないけれど、今読んでもすごくいい。
遙たちの感情の動きがいきいきと描かれているから、説得力を失わないのだと思う。
主役の遙と凛はもちろん、脇役の江ちゃんや怜ちゃんに対しても、作者の暖かい眼差しが感じられるところがすごくいい。そして絵もかわいい。
凛視点の漫画→江視点のSS(ゲスト作)→遙視点のエピローグ漫画の三幕で「遙の涙の理由」が明らかになっていく構成が泣かせる。
あと、七瀬遙が凛ちゃんの涙を舐めるのは鉄板だと思う。


盆『Balcony』屋根裏眼鏡、2013年
けいおん!の唯和本。
学園祭の一日目の夜、ロミオとジュリエット上演後のお話。
和は教室で唯のシャーペンを見つける。そこへ、なくしたペンを探しに唯がやってくる。
ふたりはペンを見つけたこと、なくしたことをお互い隠したまま、ふたりでロミオとジュリエットのワンシーンを再現する。

中学生の頃に和ちゃんが唯ちゃんにプレゼントしたシャーペンを軸にお話が回るんですけど、そのペンを通して表に現れてくる、唯ちゃんと和ちゃんの気持ちやお互いへの眼差しの描き方が濃やかなのと、ふたりが演じる劇中劇の台詞ごしに伝わってくる予感のような感情がすごくよくて、いつ読んでもぐっと来ます。
別れ際に和ちゃんが唯ちゃんに「遅くまで騒いじゃだめよ」「はしゃぎすぎないでちゃんと寝るのよ」と細々とした注意をして、律ちゃんに「お母さんか」と突っ込まれるところとか、ああ、唯ちゃんと和ちゃんだなあという感じ。和ちゃんはこういうこと言うし、唯ちゃんは言われるし、りっちゃんは絶対こうツッコむよ。その雰囲気がやさしい。


ずっと前から、好きな本の話をしてみたかったので、してみました。とても楽しい。
今回紹介した二冊は、どちらも結構前の本なので、もう通販などでも手に入らないと思います。
とてもいい本を私は持っているという自慢です。
『君に秘密のなみだ』のA太さんは、ネットで探してもこの本以外の情報が見つからないので、現在活動中かどうかわかりません。
『Balcony』の盆さんは、現在も活動なさっていて、Pixivで過去のコミティア本や艦隊これくしょんの二次創作などが見れます。サークル名で検索すればご本人のPixivアカウント、ブログにたどり着けます。